ホルモン補充療法

更年期症状に対する効果
更年期の症状を大きく分けると血管運動神経筋肉症状と精神神経症状の二つに分かれます。症状を細かく書くと次のようになります

血管運動神経筋肉症状
のぼせ(突然顔がカーとなる)、冷え(手足や腰が冷える)、発汗(汗をかきやすい)、動悸(急にどきどきしてきて怖い)、息切れ、肩こり、腰痛、おなかの張った感じ、頭痛

精神神経症状
うつ、いらいら、不眠、体がだるくてやる気が出ない、めまい、耳鳴り

これらの中でホルモン療法が非常によく効果を現すのはのぼせや冷え、発汗、動悸などの血管運動神経症状です。劇的という言葉がふさわしい程良く効きます。肩こりや腰痛、頭痛などの筋肉症状に対しても効果ははっきりしています

精神神経症状はホルモンの減少だけが原因ではなくその他の社会的ストレスが重なることによって生じていることが多いのでホルモン剤だけで完治することは難しいです。いろんな人に話をよく聞いてもらう事や、ホルモン剤と安定剤をうまく使用することで精神神経症状もある程度軽くすることができます。

とにかく上記のような症状のある方は一度婦人科を受診してみてください。内科的に異常がないかどうかということも重要ですので内科やその他の診療科と平行して治療していくことが症状軽減の早道だと思います。


骨粗しょう症に対する効果
ホルモン剤を使用するということは、単に更年期の症状を軽くするということにとどまりません。女性ホルモンを使用することの最も重要な作用は骨粗しょう症を予防するということです。骨は年を取るにつれてもろくなっていきますが、女性の場合更年期を境にして急激な骨塩量(要するに骨の密度、骨密度ともいいます)の低下がはじまります。それまでは骨は男性よりむしろ丈夫なのですが、閉経後は逆転していき老人の骨粗しょう症はほとんどが女性という結果になっています。従ってこの時期にいかに骨塩量の低下を防ぐかが老後の健康を左右してしまうのです。

年を取って骨折すると、たとえばつまづいて手をついた瞬間に手首を骨折する人が多いのですが、このようになると物を持つことができにくくなるのでついつい買い物にも行きたくなくなります。そうすると次第に外出の機会が減り、益々足腰の骨量の減少をきたし次にはわずかなことで腰や股関節を痛めたりします、そうするとほとんど寝て暮らすことが多くなるため、ぼけも早く来てしまって生活の質がきわめて低下してしまうのです。

このようなことを予防するために、更年期のまだ骨がしっかりしてるうちに骨に対する予防策を取っていかなくてはならないのです。そのもっとも効果的な方法が女性ホルモンを服用するということなのです。カルシウムやビタミンDを取ることも大事ですが、結局女性ホルモンが働かなければそれらも捨てられるだけで骨にはなりません。これらのサプリメントを取った上で女性ホルモンを使用するというのがもっとも効果的と考えられます。


動脈硬化に対する効果
次にホルモン剤の効果で重要なのが、動脈硬化を防ぐという作用です。動脈硬化も40歳代まではほとんどが男性の病気なのですが、更年期以降女性の動脈硬化が増えてきてこれも閉経後は男性と逆転してしまいます。明らかに女性ホルモンが減ったための症状なのです。

動脈硬化になると心筋梗塞や脳梗塞などの生死に関わる病気になりがちです。骨粗鬆症ではすぐに生死に関わることはないのですが、動脈硬化はそうはいきません。怖いという意味ではこちらの方が怖いです。ただし頻度から言えばほとんどの女性が骨粗しょう症になるのに比較して心筋梗塞を起こすほどの動脈硬化になる人はそれほど多いというわけではありません。

動脈硬化を予防するためには食事療法が重要です。血液検査でコレステロールが多い人は要注意です。女性ホルモンを服用するとこのコレステロールが減少してきます、さらに善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールは増加してきます。中性脂肪に関しては特に太りすぎというわけでなければ、数値にあまり気を取られる必要はないと思います。太り過ぎかどうかはBMIを調べることでわかります。簡単に計算できるので自分のBMIは常に知っておく必要があるでしょう。BMIとは体重(Kg)を身長(m)の2乗で割った値です(たとえば身長157cmで55kgの人の場合、電卓で計算するときは55÷1.57÷1.57=22.3)。20〜25くらいが正常値です。20以下はやせ、25以上は肥満です。


ぼけ防止効果
これらのほかに女性ホルモンの効用はいくつもあるのですが、ぼけを防止する効果が最近注目されています。女性ホルモンの総合的な効果と思われますが、活発に行動することによりぼけを防止しているのでしょう。


美容的効果
女性にとっては以上のことよりおそらくもっと興味あることかもしれませんが、女性ホルモンには肌をきれいにする効果があります。すでにできているシミをなくすことはできませんが、新たにシミが増えるのを防ぐ効果があり、肌に艶ができてきます。高級な化粧品よりは医学的な効果は明らかです。


女性ホルモンには寿命を延ばす効果はありません、しかし死ぬまで元気に過ごすことができます。寝たきりにならないで、活発に老後を過ごすために女性ホルモンはあなたの手助けをするのです。

以上女性ホルモンの良いところを書きました、副作用についてはホルモン薬の副作用のページを参照して下さい。