ホルモン薬の副作用

ホルモン剤の副作用として発癌性や血栓症の問題があります。またよく太るのではないかと心配されている方がいますが、ホルモン剤自体に体重を増加させる作用はありません。しかしホルモン剤を服用することにより体調が良くなって、ついつい食が進んでしまうということはあるようです。これはホルモン剤の副作用というより、運動の不足や間食などが原因というべきでしょう。以下に発癌性と血栓症について説明します。

発癌作用について
日本人がホルモン剤を使用することをためらうもっとも大きな原因は、ホルモン剤を使用すると癌になるという話にあると思います。確かに女性ホルモンのみを服用すると子宮体癌になる確率が高くなりますが、黄体ホルモンを併用することにより子宮体癌になる危険はなくなります。またホルモン剤を若い頃から使用して(たとえば避妊の目的で)いる場合は卵巣癌になりにくくなります。ですから大きな目で見るとむしろ発癌性は低くなるのです。
しかし乳癌に関しては黄体ホルモンを併用してもしなくてもあまり変わりません。ホルモン剤を使用しない状態で1万人に4−5人の人が乳癌になると言われますが、女性ホルモンを使用することにより1万人に6人くらいに率が増えると言われています、ただし死亡率は変わりません、これはホルモン剤を使用している人は検診などを自発的に受ける人が多いからではないかと考えられています。総合的に判断するとホルモン剤服用による乳癌の心配はそれほど高くはないと言えるのではないでしょうか。

ただし乳癌は近年増加傾向にありますのでホルモン剤を飲む飲まないにかかわらず、乳癌検診は受けたほうがよいです。乳癌は若くてもなりますので、若い方でも自己検診を必ず行うようにしてしこりなどを触れる場合は検診を受けましょう。
ところで、乳癌は日本では外科で手術をします。従って乳癌検診も外科の医者が行うのが普通です。しかし、最近ではホルモン療法を婦人科で行う事もあって婦人科で乳癌検診を行う施設も増えてきました。以前は触診(手で触る)による検診が一般的でしたが、最近は超音波やマンモグラフィーをそろえた施設も増えてきているようです。乳癌検診参照。


血栓症について
血栓症とは血が血管の中で固まってしまう事です。血は空気に触れたりすると固まる性質がありますが、空気に触れないでも血液の流れの悪いところなどで小さな固まりを作ってしまうことがあります。固まった血はだいたい血管の壁にくっついていますがこれが剥がれてしまうと血管の中を流れて肺などにひっかかってそこで血液の流れを止めてしまうことがあるのです。これを肺塞栓症といいます(飛行機のエコノミークラスシンドロームはこの血栓による肺塞栓症です)。血栓は血液の流れの悪くなりやすい足の静脈にできることが多く、できると血流がさらに悪くなりますので足(特にふらはぎなど)の痛みを感じるようになります。このような症状が出た場合、その血栓が剥がれると肺に詰まってしまいますのでゆっくりと溶かすような治療を行わなければなりません。このような血栓症は誰でもが起こすわけではなく生まれつき血が固まりやすい体質の人に多いとされています。さらにたばこを吸う人や高齢の人に多いということです。女性ホルモンの使用により、この血栓症になる確率が高くなるのです。逆に言えばこのような血が固まりやすい体質ではない場合は女性ホルモン剤を使用しても血栓症になる可能性は低いといえます。しかし、この体質であるかどうかの検査は難しく、いくつかの凝固因子の異常が発見されていますが、それだけではありませんので、事実上血液検査で予め発見することは不可能です。但し頻度は少ないです。このようなことがあるということを知っておく必要はありますが、あまり神経質になる必要はないでしょう。血液が固まりやすくなっているかどうかは血液検査である程度判断できますので、定期的な血液検査をちゃんと受けるようにしましょう。