腹腔鏡手術

婦人科の腹腔鏡手術にはいくつかの方法がありますが、普通はへその下に3cmくらいの傷をいれそこからスコープをおなかの中に挿入して、同時に二酸化炭素を注入しおなかを膨らませて(気腹式という)スコープでおなかの中を観察しながら、さらにおなかの横のほうにも1cmくらいの傷をいれそこから細長い鉗子(先端につまんだり切ったりする部分のついた柄のついた棒)をいれて操作しながら手術を行います。二酸化炭素を注入しておなかを膨らませる気腹式のほかに、つり上げ式と言って金具を使っておなかを引っ張り上げて同じ様な操作を行う方法もあります。気腹式の利点はとにかく簡単にできて、おなかの中が見やすいという点です。またつり上げ式よりおなかの傷が小さくてすみます。欠点は二酸化炭素を入れて圧力をかけますので、挿管麻酔でないと肺の換気がうまく出来ないことです(短時間なら問題ないようですが・・・)、捜管麻酔はそれだけでも結構大がかりになってしまいますが安全な麻酔といえます。つり上げ式のメリットは圧力をかけないので気腹式の欠点がないということです。欠点は気腹式より操作がやや煩雑でおなかの中が見にくいと言うことです。当院では現在のところ安全なつり上げ式を行っております。でも気腹式の方がやり易いのは間違いないですね。

腹腔鏡手術の利点はおなかの傷が小さくてすむので開腹術より見かけが良いと言うことと傷が小さいので短い入院期間ですむと言うことです。欠点は操作が難しいと言うこと(気腹式が簡単と言っても通常の開腹手術に比べれ格段に難しいです)、時間がかかる、おなかの中に癒着がある場合は手術ができないことがある(このようなときは開腹手術に切りかえるしかない)などです。

卵巣腫瘍の場合の腹腔鏡の手術は今でも学会では議論になります。つまり卵巣腫瘍が良性である場合は良いのですが、万が一悪性の場合腹腔鏡手術では腫瘍の中身がもれることがあるので危険であると言うことです。卵巣腫瘍が良性か悪性かは超音波検査や腫瘍マーカーやMRI検査で判断しますが、最終的には腫瘍を取りだしてみないと良性悪性の判断はつきません。ほんとに良性の腫瘍ならば手術の必要はないわけですから、ねじれて痛みを伴う場合や破けて中身がもれて痛みを伴う場合など以外の良性卵巣腫瘍は放っておいても良いと言うことにもなります。放っておけないから(悪性の可能性が多少なりともあるから)手術すると言うのであれば、やはり開腹術のほうが良いのかなとも思いますが、傷の大きさはかなり違います。どちらにしろ医師と十分納得のいくまで相談する必要があります。

ところで子宮外妊娠の手術は腹腔鏡手術の最も得意とする分野です。すでに破裂している場合は一刻を争いますのでいろいろな制約のある腹腔鏡より開腹術のほうが良いですが、まだ破裂していないのであれば腹腔鏡手術のほうが良いと言うのは間違いないでしょう。手術のやり方は子宮外妊娠の項参照。