妊婦健診

妊婦さんは定期的に健診を受けます。妊婦健診は12週くらいから始まって、28週くらいまでは4週おきにそれから36週までは2週おきにそれから40週までは1週おき、それ以降は随時診察を受けると言うのが当院の健診時期です。内容は体重測定、子宮底の長さ、腹囲、検尿、血圧、浮腫の有無などですが、さらに超音波検査で胎児の推定体重や奇形の有無、羊水量などを調べるのが普通となっています。36週を過ぎればNSTと言って胎児心拍数のモニターと陣痛計を腹部に装着してグラフにする検査を行います。これで子宮の収縮と胎児の元気さがわかります。

最近超音波の画像をビデオ(VHSテープ)に撮ると言うサービスをはじめました。これは単純にサービスであり医学的には特に意味はありませんので、納得できるまでしっかり撮ってくれと言われても困りますが診療に差し支えない程度のサービスとして行っております。12週くらいから30週くらいまでがビデオにとっておもしろい時期かなと思います。それ以降になると胎児が子宮にいっぱいいっぱいに大きくなってしまって、動きがなくなるのでビデオ的にはおもしろくなくなります。当院ではそのビデオにお産の状況も撮影しています。これで妊娠の一連の流れが1本のビデオに完結します。

妊娠初期の諸検査の説明
血液型(ABO, Rh) 
O型やRh(-)の妊婦さんはご主人が同じ血液型でなければ赤ちゃんの黄疸に注意しなくてはなりません。また妊娠中やお産の時には予期せぬ大量出血が起こることがあります。妊娠したらまず血液型を調べて輸血がいつでも出来るようにしておく必要があります。

不規則抗体
これは血液型の一種です。陽性の場合軽度の輸血事故が起こることがあります、また新生児黄疸の原因にもなります。血液型と同じく妊娠初期に調べておく必要があります。

子宮頚癌検診
妊婦が癌になりやすいわけではありませんが、この時期の検査で初期癌もしくは前癌病変が見つかることがあります。

梅毒検査
母子手帳に検査無料の券がついています。陽性の場合は薬を服用して治療します。放っておけば梅毒は胎盤に感染し、赤ちゃんは先天性の梅毒症候群になります。

B型肝炎検査
これも母子手帳に検査の無料券がついています。陽性の場合は赤ちゃんに感染しないように生後72時間以内にグロブリンという薬を注射します。
B型肝炎ウイルスが感染すると肝臓の細胞の中で増えていきます。それだけなら特に問題にならないのですが、このウイルスが感染した肝臓の細胞を体の中の免疫細胞が攻撃することによりそれらの肝細胞が破壊されます。それが肝炎という症状になります。症状が強いときは劇症肝炎といって死亡することがあります。
B型肝炎は血液で感染しますので、昔は輸血などでも感染していました。お産の時も赤ちゃんが母親の血液から感染します。子宮の中にいるときは感染しませんので、生まれてからグロブリンをうてば感染率を5%まで下げることが出来ます。
ところでB型肝炎のなかにはs抗原とかe抗原というのがあります。この中のe抗原陽性の患者さんの場合感染の可能性が高く、s抗原陽性(e抗原陰性)の患者さんの場合は感染率は6%程度とグロブリンを売った場合と余り変わりません。したがってs抗原陽性(e抗原陰性)の患者さんの場合はグロブリンをうたないことも多いです。グロブリン自体が血液製剤なので、安全性は高いと言ってもうたないで済むならうたない方がいいかも知れません。

C型肝炎検査
陽性の場合は赤ちゃんへの感染が1%程度あると言うことを知っておくことが必要です。感染を予防する方法は確立していません。C型肝炎もB型肝炎と同じように血液で感染し同じく肝炎を起こしますが、慢性肝炎になることが多く将来的に肝硬変や肝臓癌の原因となります。最近ではインターフェロンによる治療が確立してきているようですが、治療は人によっては発熱などがあるということです。

ATLA(成人T細胞白血病ウイルス)
成人T細胞白血病を引き起こすウイルスですが、実際に発症することはまれです。母乳で感染することが分かっていますので、陽性の場合は授乳ができません。

AIDS(エイズ)
陽性の場合は精密検査が必要です。妊婦の場合擬陽性(陰性なのに間違って陽性になる)が出ることもあります。精密検査は大学病院などで行う必要があります。

妊娠中期の検査
クラミジア
性病の一種ですが、赤ちゃんに産道(腟など)で感染すると新生児肺炎を起こすことがあります。薬を飲んで治療する必要があります。また性病の一種ですのでご主人も感染されている場合があります、治療はご主人と一緒に行う必要があります。クラミジアには何度でも感染しますのでせっかく治ってもご主人からまた感染すると言うことがあるからです。

GBS
これは腟内に常在する細菌です。大人には全く無害ですが、赤ちゃんが感染すると重症の肺炎を引き起こすことがあります。滅多に発症しませんが発症すれば致死率が高いので怖い菌ではあります。陽性の場合はペニシリン系の抗生剤を服薬します。さらに分娩の時に抗生剤の点滴をします。こうすることにより発症率をかなり下げることができます。