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| 卵巣がはれて大きくなった状態が卵巣腫瘍ですが、卵巣は定期的に排卵するので特に異常がなくてもはれることがあります。そのようなものを単純性嚢胞と言います。しかしはれた卵巣の中が均一な水分のようなものではないときや、小さな部屋がたくさんあるような場合、中身が液体でなくかたそうなもの(充実性と言う)でできているときは、すぐに腫瘍マーカーの検査を行い、MRIによる造影の検査を行う必要があります。少しでも悪性が疑われるときは手術をしなければなりません。悪性の可能性がないと考えられる場合はそのまま定期的に診察を続けていきます。悪性の可能性がなくてもあまり大きくなるものは手術の対象になります。 あまり大きくなくて良性と考えられる卵巣腫瘍は当然手術しないで経過を見るわけですが、たまにねじれる(茎捻転と言う)ことがあります。ねじれると卵巣に血液が流れなくなって壊死(細胞や組織が死ぬこと)を起こしてしまいます、当然非常に痛いです。ねじれる前に手術をしてしまえば良いと言うことにもなります。ねじれてからの手術は卵巣ごと取ると言う手術になるのに対して前もって行う手術は卵巣の腫瘍の部分だけを取り卵巣は残すと言うことができるので、純粋に卵巣のことを考えると前もって手術したほうが良いようにも思えます。このあたりの判断はそれぞれの腫瘍の大きさや性状によっても変わってきますので、医師と十分に相談する必要があります。特にねじれやすいのは中身が油や髪の毛(腫瘍の中に髪の毛や歯などが入っている)などの奇形腫という腫瘍です。卵くらいの大きさのときが最もねじれやすいと言われています。 卵巣腫瘍の手術、特に良性と考えられる卵巣腫瘍の手術をどうやるかは常に頭を痛める問題です。良性卵巣腫瘍の手術には大きく3つあるといえます。 1;開腹手術で卵巣ごと取ってしまう 2;開腹手術で卵巣の腫瘍の部分だけ取る(腫瘍核出術と言います) 3;腹腔鏡手術で卵巣の腫瘍の部分だけ取る 核出術というのはどういう物かを説明します。卵巣の腫瘍は卵巣の中から発生した腫瘍です、たとえていえばミカンのようになっていてこの場合ミカンの皮が卵巣でミカンの中身が腫瘍と言う感じです。ミカンを手でむくと中身が出てきますがこの中身をきれいにとって皮を縫い合わせるのが核出術です(医者用語では核出術を「皮むき」とも言います)。ミカンをむくときもうまくやらないとミカンの汁が出てしまいます、同じ様なことが核出術でも起こります。 次にこれらの手術のメリットとデメリットを考えます。まず開腹手術の良い点は手術の時の視野がしっかり取れるので不慮の事故が起こりにくい。卵巣ごと取る場合は全く腫瘍の中身をこぼすことなく取ることが出来る。腫瘍だけをとる核出術をする場合でも腹腔鏡でやるよりは腫瘍の皮を破いて中身をこぼすことが少ない(開腹しても中身がこぼれることはあります)。止血(切断したところから出血しているのを止めること)が容易で確実であるなどです。開腹術の悪いところはおなかの傷が大きい、術後の痛みが強い、入院期間が長くなるなどです。 腹腔鏡で行う場合の良い点はこれはやはりおなかの傷が小さいと言うことにつきると思います。更に術後の痛みもほとんどありませんし、術後3日から5日くらいで退院することが出来ます。悪いところはテレビモニターを見ながら遠隔操作で手術を行いますから多少見にくい部分があったり、止血操作などが不完全になったりすることです。そのために卵巣腫瘍の皮を破いて中身をこぼしてしまったり、思わぬ部分の出血に気づくのが遅れたりすることが考えられます。ところで腹腔鏡で卵巣ごと取る手術はあんまりやりません(やることもある)。それは腹腔鏡の傷口は小さいので卵巣腫瘍をそのままでは外に出すことは出来ません、中身を吸い取るなどしてぺちゃんこにして取り出します。するとどうしても中身を多少こぼすことになりますので中身をこぼさないために行う卵巣ごと取る手術をする意味があまりないからです。 ところで良性卵巣腫瘍をなぜ手術するかと言うことを考えてみましょう。本来良性であると分かっていれば手術の必要はないといえます。多少なりとも悪性が疑われるから手術するというのであれば腫瘍の中身をこぼすことは悪性細胞の播種(つまり悪性細胞をおなかの中にばらまくことになる)を意味するので絶対やってはいけないことです。そうなればもっとも確実な開腹による卵巣ごと取ってしまう手術を行うべきです。ところが画像診断や腫瘍マーカー検査で99%良性といえるが大きさや形などから1%の悪性の可能性があるから手術するというようなときに困ってしまいます。患者さんの年齢や希望を考慮する必要がありますが、子どもがすでにいて40歳以上の場合は開腹手術で卵巣ごと取ってしまうのがよいと思います。それは良性卵巣腫瘍は若い人に多く40代(いわゆる癌年齢)になって発生した卵巣腫瘍は悪性の可能性が若い人より高いと考えられるからです。20代30代の卵巣腫瘍でほぼ良性と考えられる場合は(当然若い人にも悪性の卵巣腫瘍は出来ます)やはり将来の妊娠のことを考えて核出術を行うのがよいでしょう。卵巣は2個あるので片方にしか腫瘍がない場合は卵巣ごと取ってももう片方があるので良いという考え方も成り立ちます。それは結局どれくらい悪性が考えられるかと言うことになると思いますが、明確な基準というのはありません。その都度悩むしかありません。 悪性はほとんど考えられないがそのままでは破裂したりねじれたりするかも知れないので手術するというのであれば核出術をした方がいいと思います。あんまり大きい腫瘍は卵巣部分がのびきってしまっていて十分に卵巣を残せないこともありますのでそういう場合は仕方がありませんが、出来るだけ残す方がよいと思います。。 核出術を行うのであれば開腹術で行っても腹腔鏡で行っても良いと思いますが腹腔鏡で行う場合は腫瘍の中身がこぼれる可能性が大きいと思って下さい、でも悪性でなければ中身がこぼれても全く心配はいりません。 最終的にとれた腫瘍を病理検査することにより悪性かどうかの判断をします。 |
