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| お産のときは分娩監視装置と言うものを妊婦の腹部につけて、陣痛の強さと胎児の心拍数をグラフにしながら見ていきます。このとき陣痛とともに胎児心拍数が下がることがありますが、これを早発一過性徐脈と言い余り問題にはなりません。陣痛に少し遅れて下がるのを遅発一過性徐脈と言います、この遅く現れる徐脈が胎児仮死の兆候(この段階では兆候であり仮死ではありません)なのです。そのほかにも不規則性一過性徐脈や、バリアビリティ(胎児の心拍が小刻みに変動すること、これは胎児が元気な証拠)の消失後の浅い徐脈など胎児仮死を疑わせるモニター所見がいくつかありますが、それらを総合的に判断して胎児が元気かどうかを見ていきます。 胎児仮死は胎盤からの血液が胎児にうまく流れなくなり、胎児の酸素が足りなくなっている状態のことです。したがってできるだけ早くその状態を改善してあげる必要があります。産婦人科医が日常最も遭遇する緊張する場面です。体位変換(妊婦の体を仰向けから横向きにしたりする)などで良くなることが多いですが、良くならないときや何度も心拍数が落ちるときは胎児仮死が考えられますので緊急帝王切開をしなければなりません(胎児心拍が低下して低酸素症が続くと脳に障害が生じる可能性がある)。産科医はこの一瞬のために生きているんだと思うことがあります。武士で言えば戦場です。分娩が進行していてもうすぐ生まれそうであればこのまま経腟分娩を続けるのか帝王切開に切り替えるのかを判断しなくてはなりません。経腟分娩でいくと決めたら産まれてくる赤ちゃんの一生が医者の肩にかかってきます。重いですよ。研修医の頃は逃げ出したい気持ちでいっぱいでした。 心拍数が落ちる原因はいろいろあるので一概に言えませんが、それまで特に異常なく進行していて突然胎児仮死の兆候が現れるのは臍帯が首などに巻きついていることが多いようです。しかしその他の胎児自身の原因も考えられますので生まれた赤ちゃんは保育器に入れて観察する必要があります。 |
